転職活動の期間はどれくらいか|先に決めるのは「何を優先するか」
転職活動にどれくらいかかるのかを調べると、たいてい「◯か月が目安」という数字に行き当たります。ただ、その数字を自分に当てはめても、あまり当たりません。
理由は、何を優先して活動するかによって、答えが変わるからです。良い転職先に出会うことを優先するのか、この時期までに終えることを優先するのか。この2つは、進め方も、かかる期間もまったく違います。
この記事は、先に決めるべきものは何かから書きます。そのうえで、1社の選考にかかる期間の目安と、伸びる原因を整理します。
先に結論:期間は「何を優先するか」を決めないと読めない
- 転職活動には2つのスタートがある。良い転職先を探したいのか、この時期までに終えたいのか
- 後者なら、期間は設計できる。 期限を先に置き、その中で出会えた相対的に一番良いところに決めるという進め方になる
- 前者なら、期間は読めない。いつ・どの企業が・どういう募集を出すかは事前に分からないため
- ただしどちらが正しいという話ではない。 決めていないまま進むと、どちらの利点も取れなくなる
- 期間を測るなら、1社の選考にかかる時間で捉えると分かりやすい。書類選考から内定承諾まで、およそ1か月半〜2か月が目安
- 急ぐ意思を最初に伝えておけば、1か月弱で決着することもある。ただしこの期間に退職交渉は含まれていない
- 伸びる原因は2つ。面接と面接の間が空くこと(後半ほど組みにくい)と、企業側が複数人を比べてから決めたい場合
- 選考の通過率は段階で違う。書類がおよそ33%、1次が20〜30%、2次が30〜40%程度、3次以降は50%程度
順に見ていきます。
まず、2つのスタートを分ける
同じ「転職活動」でも、始まり方が2種類あります。
- A:良い転職先を探したい
期限を切らず、納得できる転職先に出会うことを優先する進め方です。期間は読めません。いつ、どの企業が、どういう募集を出すかは事前に分からないためです。
- B:この時期までに終えたい
期限が先にある進め方です。「この時期までに転職すると決めているので、その中で出会えた相対的に一番良いところで内定承諾を目指す」という形になります。こちらは期間を設計できます。
どちらが正しいという話ではありません。 家庭の事情や現職の区切りで期限が決まることもあれば、急がずに探せる状況もあります。
問題は、決めないまま進むことです。Aのつもりで動いていたのに途中で焦り始めると、比較の基準がないまま決めることになります。Bのつもりなのに期限を伝えていないと、選考の速度は上がりません。
転職は縁とタイミングだ、という言い方をよく聞きます。それ自体は間違っていません。 ただ、そこで話を止めてしまうと、自分で決められる部分まで手放すことになります。
つまり、縁そのものは選べなくても、何を優先するかは自分で決められます。 そして、それを決めた時点で期間の話ができるようになります。
全体の流れ——登録から入社まで
工程を並べます。エージェントを使う場合の一般的な流れです。
- 1. 登録・面談
申し込み、面談で希望と経歴を伝えます。会社によっては、面談の前に紹介できる求人があるかを確認する工程が入ります。
- 2. 求人の紹介と、応募承諾
紹介された求人のうち、どれに応募するかを決めます。「応募承諾」という独立した工程です。受けるかどうかを決めるのは求職者側で、ここが自分の意思表示になります。
- 3. 書類選考
履歴書・職務経歴書が企業に渡り、結果を待ちます。会社によっては、推薦の資料が同封されます。
- 4. 面接
1次から3次程度に分かれるのが一般的です。それぞれが独立したステップになります。
- 5. 内定・内定承諾
提示された条件を確認し、受けるかどうかを決めます。返答の期限が付くのが普通です。
- 6. 退職の申し入れと引き継ぎ、入社
現職に退職の意思を伝え、受理してもらい、引き継ぎをします。ここは本人がやる工程です。
準備(経歴の棚卸しと書類の作成)は、この前に置きます。 相手がいなくても進められる唯一の工程なので、ここは別扱いにします。
1社の選考にかかる期間
期間を測るなら、1社の選考を終えるまでで捉えるのが分かりやすいです。
| 目安 | |
|---|---|
| 書類選考の開始から内定承諾まで | およそ1か月半〜2か月 |
| 急ぐ意思を伝えている場合 | 1か月弱で決着することもある |
| この期間に含まれないもの | 退職交渉・退職の手続き・引き継ぎ |
「急ぐ意思を伝えている場合」というのは、求職者側にも求人企業側にも「かなり急いでいます」と伝わっている状態を指します。伝わっていれば日程が優先的に組まれることがあり、それで縮みます。伝えていなければ縮みません。
そして、退職交渉はこの期間の外にあります。 内定承諾のあとに、現職への申し入れと引き継ぎが乗ります。ここは職場によって差が大きいので、入社日を決める前に、自分の職場でどれくらいかかりそうかの見当をつけておくほうが安全です。
期間が伸びるのは、この2か所
1つ目は、面接と面接の間が空くことです。
日程が組めない理由は、求職者側と企業側の両方にあります。
- 求職者側の事情
在職中なら、仕事の調整をしながら候補日を出すことになります。選考の場所によっては移動が伴います——Uターンのように現地へ行く必要があるなら、半日や1日の休みを取ることになります。候補日を出せない期間が、そのまま空白になります。
- 企業側の事情
フェーズが後になるほど、出てくる面接官の役職が上がります。役員が面接に入る段階になると、そもそも押さえられる候補日が限られます。現場のリーダーなら翌週に組めたものが、役員だと翌々週以降になる、ということが起きます。
つまり、後半になるほど日程は組みにくくなります。 前半が順調だったからといって、同じペースで進むとは限りません。
求職者側でできるのは、自分の可動域を先に伝えておくことです。先に決めておくと効くのは、次の3つです。
- 平日のどこなら動けるのか(半休が取れる曜日、中抜けできる時間帯)
- オンラインで受けられるのか、現地に行く必要があるのか(後半になるほど現地の可能性が上がります)
- どこまでなら現職の予定を動かせるのか
これを面談の時点で伝えておくと、日程の候補を出す段階から前提に入ります。 伝えていないと、出てきた候補にこちらが毎回合わせる形になり、往復が増えます。
2つ目は、企業側が複数人を比べてから決めたい場合です。
3〜5名ほどを面接していて、その中で一番良いと判断した人にオファーを出したい、という進め方をする企業があります。この場合、自分の選考が終わっていても、他の人の選考が終わるまで結果が出ません。
これは企業側が優位に立っている選考で起きやすく、求職者側からは見えません。 ある時点の面接までは早く進んだのに、その後の合否や調整に時間を要しているというときは、これが起きている可能性があります。待つ以外にできることはないので、他社の選考を並行して進めておくほうが現実的です。
選考は、どれくらい通るのか
通過率は、段階によって違う
何社受ければいいのかを考えるとき、通過率の目安が使えます。企業側から見た選考の通過率は、段階によって差があります。
| 段階 | 通過率の目安 |
|---|---|
| 書類選考 | およそ33% |
| 1次面接 | 20〜30% |
| 2次面接 | 30〜40%程度 |
| 3次面接以降・最終 | 50%程度 |
1次面接がいちばん低いのが特徴です。書類で読み取れなかった部分がここで確かめられるため、差が出ます。逆に後半に進むほど通過率は上がります。 最終まで残っている時点で、企業側もかなり絞り込んでいるからです。
この数字は企業がどれくらい通すかの話であり、応募する側の目安として使うなら、「書類を出した3社のうち1社が面接に進み、そこからさらに絞られていく」という見当になります。
なお、これは求職者側が辞退した数を含みません。 次に見るとおり、選考の途中で自分から降りるケースは別にあります。
途中で降りる場面は、2つに分かれる
選考を最後まで受けない場合、理由は突き詰めると2つです。
- その会社が自分に合わない、と判断した
面接を受けてみたが、しっくりこなかった。話してみたら、思っていたほどではなかった。現職に残るという判断も、ここに入ります。これは選考の前半に多い——書類選考を通過したあとや、1次面接が終わったあとに辞退の連絡をする形です。
- もっと合う会社に出会った、あるいはオファーが出た
別の選考が急に進んだ、他社からオファーが出た。そこで即決するケースです。これは選考の後半に多い——2次・3次面接以降のフェーズで起きます。
この2つは、自分の状態を判定する材料になります。
前者が続いているなら、受ける前の見極めが甘い可能性があります。求人票と面談の段階で、もう少し確かめられることがあるかもしれません。
後者が起きるのは、選考の進み方が揃っていないからです。1社だけ先に内定が出れば、他社の結果を待たずに決めることになります。比べたうえで決めたいなら、受ける時期をなるべく揃えておくのが唯一の手です。ただし選考の速度は企業ごとに違うので、完全には揃いません。揃わないことを前提に、どこまで待てるかを先に決めておくほうが現実的です。
自分の場合を見積もる
ここまでを踏まえると、見積もりは次の順で組み立てられます。
- 1. AかBかを決める
良い転職先を探すことを優先するのか、この時期までに終えることを優先するのか。Bなら、その期限をエージェントにも企業にも伝えます。伝えていない期限は、選考の速度に反映されません。
- 2. 準備がどこまで終わっているかを見る
棚卸しも書類もこれからなら、そのぶんが頭に乗ります。ここは相手がいなくても進められる唯一の工程なので、先に済ませておくと待ち時間と重なりません。
- 3. 1社あたり1か月半〜2か月を置き、退職の期間を足す
並行して受けるぶんは重なるので、単純な足し算にはなりません。ただし退職交渉と引き継ぎは、内定承諾のあとに必ず乗ります。
- 4. 自分の可動域を確認する
在職中なら、面接に使える時間がどれだけあるか。ここが狭いほど、面接と面接の間が空きます。
そして、見積もりから外しておいたほうがいいものが1つあります。 「いつ良い求人が出るか」です。ここは読めません。読めないものを予定に入れると、その予定は必ず崩れます。
工程ごとに、何が起きるか
各工程の中身は、それぞれ別の記事に分けて書いています。ここでは何を見に行けばいいかだけ示します。
- エージェントに何を期待できるのか
してくれること、構造上できないこと、会社によって体験が変わる理由は転職エージェントとは何かに整理しました。期待の置きどころがずれていると、待ち時間が不満に変わります。
- 書類の作り方
職務経歴書の書き方。企業が何を見て判断しているかから逆算しています。書類選考の通過率がいちばん動くのはここです。
- 面談で何が起きるか
1社の面談を最初から最後まで追ったタイズの面談が具体例になります。準備するものと、聞かれることが分かります。
- 申し込んでも面談に進まないとき
会社によっては、面談の前に紹介できる求人があるかを確認します。止まったときに何が起きているのかは求人を紹介されないときに何が起きているかで扱いました。
- 連絡が負担に感じるとき
売り込みだと感じる連絡が起きる仕組みと、先に打てる手は転職エージェントはしつこいのかにまとめています。
よくある質問
- 結局、どれくらいの期間を見ておけばいいですか
- 1社の選考で、書類選考の開始から内定承諾までがおよそ1か月半〜2か月です。急ぐ意思を伝えていれば1か月弱で決着することもあります。ただしこの期間に退職交渉と引き継ぎは含まれていません。全体を見積もるときは、そのぶんを足してください。
- 早く終わらせるコツはありますか
- 3つあります。期限を先に決めて、エージェントにも企業にも伝えること。準備(棚卸しと書類)を動き出す前に済ませておくこと。面接に使える時間を先に伝えておくこと。一方で、応募数を増やしても選考そのものの速度は上がりません。
- 在職中と退職後で、期間は変わりますか
- 面接の日程を組みやすくなるぶん、面接と面接の間が空きにくくなります。ただし書類選考の結果が出る速さや、企業が複数人を比べているかどうかは変わりません。退職してから始めれば必ず早く終わる、という関係にはなっていません。
- 何から始めればいいですか
- 優先順位を決めることと、書類を作ることの2つです。どちらも相手がいなくても進められます。エージェントへの申し込みはそのあとでも構いませんし、先に申し込んで面談で整理を手伝ってもらう形でも構いません。
- 1次面接のあと、連絡が来ません
- 2つの可能性があります。日程の調整で止まっている場合と、企業側が他の応募者の選考を待っている場合です。後者は3〜5名ほどを比べてから決めたい、という進め方で、求職者側からは見えません。どちらにしても待つ以外にできることは少ないので、他社の選考を並行して進めておくほうが現実的です。
- 何社くらい受ければいいですか
- 通過率から逆算すると、書類を出した3社のうち1社が面接に進むくらいの見当になります。ただし数を増やすほど日程の管理が重くなり、1社ごとの準備も薄くなります。不採用の通知が増えるだけで判断材料が増えない状態になっていないかは、途中で一度見たほうがいいです。
- 思ったより時間がかかっています。やり方が悪いのでしょうか
- 先に確かめたいのは、止まっている場所がどこかです。準備や応募先の決定で止まっているなら手を打てます。書類選考の結果待ちや、企業側が他の応募者を比べている段階なら、自分の努力では動かせない部分です。そして優先順位を決めていないことが原因の場合もあります——決め切れずに保留が続くと、そのぶん全体が伸びます。
まとめ
- 転職活動には2つのスタートがある。良い転職先を探したいのか、この時期までに終えたいのか
- 後者なら期間は設計できる。 期限を先に置き、その中で出会えた相対的に一番良いところに決めるという進め方になる
- どちらが正しいという話ではない。 ただし決めないまま進むと、どちらの利点も取れない
- 縁そのものは選べなくても、何を優先するかは自分で決められる
- 期間は1社の選考で捉える。書類選考の開始から内定承諾まで、およそ1か月半〜2か月。急ぐ意思が伝わっていれば1か月弱のこともある
- この期間に退職交渉と引き継ぎは含まれない。 全体を見るときは、そのぶんを足す
- 伸びるのは2か所。 面接と面接の間(後半ほど役員が入るぶん組みにくくなる)と、企業側が複数人を比べている場合——後者は求職者側からは見えない
- 通過率は段階で違う。書類33%/1次20〜30%/2次30〜40%程度/3次以降50%程度。1次がいちばん低い
- 途中で降りる理由は2つ。 合わないという判断は前半に多く、他社のオファーは後半に多い
期間が読めないことと、進め方が悪いことは別です。まず優先順位を決める。そのうえで、止まっている場所がどちらの工程かを見る。 ここまでやれば、手を打てるかどうかが分かります。
各工程の中身は、転職エージェントとは何か、職務経歴書の書き方、タイズの面談にそれぞれまとめています。